仏壇継承 〜長男が継がないといけない?〜

・長男が県外や海外に住んでいる
・長男が亡くなった
・長男が独身
・長男が持ちたくないと言っている
・そもそも長男がいない

この場合、仏壇はどうしたらいいの?
沖縄にいる次男や長女に持たせてもいいですか?
これは、沖縄の仏壇継承・跡継ぎについて多い質問です。
県外の仏壇継承とは全く違う考え方をするので、沖縄に嫁いできた方などには少しわかりづらいかもしれませんが、解説していきます。

この記事を読めば、「自分たちがどうすればいいのか」というのが明確にわかるようになると思います。

1つ目のパターン
長男が県外や海外に住んでいる

考え方はとてもシンプルです。
どこに住んでいようが長男は長男なので、両親の仏壇はその長男が持ちます。
県外にいれば、県外に仏壇を引越し(移動)するウンチケーをすることになります。

2つ目のパターン
長男が亡くなった

これもとてもシンプルです。
長男は亡くなっても長男です。長男が亡くなったからといって二男が長男になるわけではないので、この亡くなった長男と両親が同じ位牌に入ります。そのあとの継承に関しては、ルールとタブーに引っかからないように誰が持つ人(ムチビチ)になるかを考えていく必要があります。

3つ目のパターン
長男が独身

これもとてもシンプルです。
長男が独身でも長男です。「結婚していないと仏壇継承はできない」というルールはないので、長男が持ちます。
長男が亡くなった場合は両親と同じ位牌に入り、そのあとの継承に関しては、ルールとタブーに引っかからないように誰が持つ人(ムチビチ)になるかを考えていく必要があります。

4つ目のパターン
長男が持ちたくないと言っている

これがとても難しい問題です。
「持ちたくない」というのは長男の「感情」です。(同じ考え方で、親が「持たせたくない」というのも「感情」です)
沖縄では「長男が親の仏壇を持つ」となっているので、持ちたくない、と言っているから持たせない、というわけにもいかないです。しかし、持ちたくない、と言っている人に持たせるというわけにもいかないです。
なので、この場合は、「持つ時期がくるまで待つ」が正解です。
具体的な方法としては、両親のいなくなった実家に仏壇だけを置いて、長男をはじめとする兄弟で仏壇を見る方法があります。この場合は、最終的には長男が亡くなった時には長男の長男が引き継ぐ形になります。
ここに関してはいろいろなパターンがあるのですが、概ね、このような考え方で対応をしていきます。

5つ目のパターン
そもそも長男がいない

両親の位牌の継承に関しては、ルールとタブーに引っかからないように誰が持つ人(ムチビチ)になるかを考えていく必要があります。この家に生まれた女の子は仏壇を持つ人(ムチビチ)にはなれないので、お父さんの男兄弟の子供、お父さんのお父さんの男兄弟の子供の子供などをたどってムチビチの確認をします。

沖縄では持つ人が仏壇を持たないと「不幸がおきる」「祟りがある」と言われることがありますが、これはとてもセンセーショナルな言葉で表現されています。
しかし、正しくは「不足をとる」という表現です。
この「不足」という考え方は、本来やるべき人がやるべきことをやらない場合、あの世(グソー)から、先祖が、連絡をしている、知らせをしているという考え方です。
人間は生きているときは、あの世のことがわからず「感情」で生きることも多々ありますが、あの世にいってから初めて、先祖が伝えていたこと、教えられていたことの意味がわかり、自分の子孫にはそのような不足をとらせたくないという思いから、こちらの世界の子孫に伝えると言われています。
それが、あまり気がつかなかったり、気がついても動かなかったりすると、事故だったり病気だったりで、気づかせるようにする、というのが「不幸」や「祟り」と言われることがあります。
「先祖が子孫にそんな悪いことするわけがない。私ならそんなことしないよ。」という方もいらっしゃいますが、先祖は子孫に「不幸」や「祟り」を与えているわけではなくあくまでも「教え」なのです。
生きている私たちにはわからないあの世の世界では、そういうことがあるようです。
ここも、信じるか信じないかという問題もありますが、あまりにも信じすぎてもダメですし、信じなさすぎてもダメだと思います。
よく「医者半分、ユタ半分」というのはこのような状況を表している言葉だと思います。
こういった長男が仏壇を持つという考え方に関して

・昔の考え方で今の時代には合わない
・わかってはいるけどなかなか難しい
・長男にその説明ができなくて、教えることができないまま
・持ちたい人が持てばいい
・別に悪いことが起こっているわけではないから勝手にしたい
という方がいらっしゃいますが、気にしないのであれば、誰の許可も必要ないのでやればいいと思います。
それなのに、どこかに「不安」があって、「誰かの許可」を求めていらっしゃることが多いです。

「お坊さんに聞いたら、そんなことはないと言っていたから私たちはやらないよ。」

とおっしゃる方もいますが、お坊さんは仏教を学ぶ方であり、沖縄の先祖崇拝の考え方とは別の考え方を持つ方なので、そういうお話しをされるのは当たり前だと思います。(お坊さんの中にも沖縄の先祖崇拝の考え方を尊重していただける方もいらっしゃいますが非常に数が少ないと思います)

こうやって沖縄の仏壇継承、長男が継がないといけないか?という面から考えると答えは1つ。

「はい。」

というシンプルな答えになります。
ちょっと難しい考え方もありますが、私たちの先祖が子孫を反映させていくための知恵を集め、祈りを大切にする歴史を考えると、これからもその考え方をリスペクトし、学び、そして継承していきたいと思います。

これは余談ですが、いろいろな方のお話しを聞いていると男の子が途絶えそうになった家は実際にいくつもあり、沖縄の位牌継承の考え方によって正しいムチビチに仏壇を持たせることにより、男の子が多く生まれる家になったという事例もあります。
昔から沖縄では祝継承をしっかりしていると後継ぎである長男、男の子が生まれるよ、という話もよくありますよね。

今日は仏壇継承、長男が継がないといけない?としてまとめてみました。

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