満産祝いとタンカーユーエー

子赤ちゃんが生まれると「出産祝い」をする地域は全国でも多いと思いますが、沖縄では、それを「満産祝い・満産祝儀」(まんさんいわい・マンサンスージ)と呼びます。

本来は出産後7日目の夜に、親戚や友人を呼んで、誕生を祝う、いわゆる「お七夜」のようなものです。

お七夜は、赤ちゃんが生まれてから7日目の夜に、考えておいた名前を命名、それを家族や親戚、お世話になった人たちにお披露目して、祝膳を囲んでお祝いするならわしがあります。
しかし、退院して数日しかたっていないのに、健康上、母子ともにあまり好ましくないので家族だけですませることも多いようです。

沖縄ではお七夜ではなく、「満産祝い」となりますが、これも本来は出産後7日目の夜、1ヶ月、100日目、120日目など諸説ありますが、いろいろ調べてみると、「満産」はもともとは生後7日目に行う「出産の忌み明け」の儀礼とされています。
その日には、ヒヌカン、仏前、親族に命名を報告してから、お客様を料理でもてなします。

しかし、出産後7日目というとまだまだ母子ともに体調あ安定していない時期ですので、近年では、100日ごろを目処にして、100日祝いとして満産祝いをすることが多くなっています。
自宅でやる方もいらっしゃいますが、中には地域の公民館や飲食店を貸し切ってお祝いをする家もあります。
そして三線や踊りなど、余興もやる場合もあったりします。
地域によっては、参加していただいた方に赤ちゃんを抱っこしてもらうという儀式を行うこともあるようです。

料理は家庭によっても違いますが、沖縄のお祝い料理である「中味汁」や「山羊汁」や「山羊の刺身」など、おめでたい料理が並びます。

沖縄にはお宮参りをする習慣がないので(最近では県外でやるお宮参りを行う家庭も出てきています)、この「満産祝い」は生まれて初めてのお披露目になります。

誘われるほうは、「満産祝い」にはお祝儀を持っていきます。
金額は、その方たちとの距離の近さにもよりますが、1万円が一番多くて、5,000円や3,000円の方もいらっしゃいます。

そして、招待側はおもてなし料理はもちろん、帰りにお礼で持たせる内祝いを準備しておくのも忘れずに。(後日、お礼をいいながら、お伺いして内祝いをお渡しすることもあります)

ここで、「タンカーユーエー」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃいますが、このタンカーユーエーは1歳のお誕生日のことを言います。
タンカーユーエーを「満産祝い」という場合もありますが、おおよそ、

「満産祝い」・・・生まれて100日目のお祝い
タンカーユーエー・・・1歳のお誕生日

という使い分けをしている方が多い印象です。
タンカーユーエーでは、将来を占う大きなイベントがあります。
下記の5つを並べて、赤ちゃん本人に選んでもらうことで将来を占います。

  • 筆(役人になれる)
  • そろばん(商売上手になる)
  • 本(頭が良くなる)
  • お金(お金に困らない)
  • ご飯(食べ物に困らない)

これにプラスして、将来なって欲しい職業などに関係するもの、たとえばサッカーボールや野球ボールなどを置くパターンもあります。

こういった沖縄の風習に関しては、必ず、最初にヒヌカンに報告し、そのあと仏壇に報告、それからお祝いスタート!という流れがあるのは、まずは神様に報告、そして先祖へ報告するという昔からの「感謝の心」によって、今の世界で生きている私たちは生かされているという感謝がさらに生まれますね。

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