旧暦3月3日 浜下り(ハマウイ・ハマウリ・サニツ・サニズ)

毎年、旧暦3月3日(2020年は3月26日)は浜下り、女の子の節句です。
沖縄本島では、ハマウイやハマウリと呼ばれ、宮古島ではサニツ、八重山ではサニズと呼ばれています。
この日は潮干狩りだと思っている方が多いのですが、本来は「塩水に手足を浸すことでけがれを落とす」という意味があります。
昔は男性は浜にはいかないとされていました。

その由来を調べてみました。諸説ありますが、おおよそ、このような内容です。

昔、琉球王朝が栄えた時代、1人の娘がいました。ある日、美しい男子と出会い、恋に落ちました。
それから娘は男の子を身ごもりました。それを知った娘の母親は男が何者かを知るために、長い糸を通した針を男の襟元にさして辿っていくことで何者かを調べようと娘に提案しました。

夜があけて、糸を辿っていくと、山の中の洞穴までつながっていました。
洞穴を覗くと、「アカマター(大蛇)」が眠っていました。

男の正体を知った母娘はびっくりして、お腹の子がアカマターの子だということをユタさんに相談にいきました。
その状況を聞いたユタさんは、「旧暦3月3日になったら浜におり、砂を踏んで、娘の体を塩水で浸してけがれを落としなさい。」とアドバイスしました。

母娘は旧暦3月3日になると、ユタさんに言われたとおり、浜に下り、砂を踏んでお水に娘の体を浸しました。娘が腰まで浸かったとき、娘から7匹のアカマターの子供が流れ落ちた。

その他にも起源は中国の「上巳の節句(じょうしのせっく)」とされています。
農業に携さわる前の心身の汚れを清める農耕儀礼だったと言われています。

それでは、浜下りでは何をするか、というと、地域によっては集落ごとにムラアシビをするところもあります。

ヒヌカンには浜下りの日を迎えた報告をします。
仏壇には、非常に鮮やかな彩りに料理した、海のもの、山の物が入っている重箱料理をつくります。
浜下りの特別な重箱で下記のようなものを詰めますが、今では作れる人も限られているのが現状です。

・フーチムチ(よもぎ餅)
・三月菓子(サングヮチグヮーシ)
・紅梅卵(卵を食紅で染めたウーベータマグ)
・花いか
・落雁(コーグヮーシ)
・三枚肉
・カステラカマボコ
・魚天ぷら
・昆布のなると巻
・紅茶寒天
・赤飯のおにぎり

女の子の子供がいる家庭では、浜に行き、白い砂を踏ませて、塩水でウビナディ(額に3回、塩水をつける)をします。
それからできれば海に入ったり、砂浜で遊んだりすることで心身を清めます。

ごちそうを準備するところまではなかなかできないかもしれませんが、この日はスーパーでも三月菓子を売っているのを見かけるので、それを味わって、浜下りの日を忘れずにいたいですね。

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